土地家屋調査士 鹿士憲司 事務所:北海道札幌市で、境界・測量・登記の相談を受け付けています

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家主と地主

Vol.13

新不動産登記法の改正と不動産オーナーの注意点

法務省により新設された
筆界特定制度について(前半)

不動産オーナーの皆さん、こんにちは。土地家屋調査士の鹿士憲司です。
今回は、今春から法務省により新設された筆界特定制度についてお話しします。

(1) まず、「筆界特定制度」とは何か、ですが、

定義

一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、筆界の現地における位置を特定すること(位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)をいう。(123条2項)

解説

筆界特定制度とは、土地の所有者等が隣地との筆界に争いがある場合に、訴訟(筆界確定訴訟)を提起する方法をとらず、筆界特定登記官に対して筆界特定の申請をする方法によって、筆界に関する専門家である土地家屋調査士等、筆界調査員の知識・経験を生かして調査し、筆界特定登記官が主体となり、迅速かつ的確に筆界の特定をしていく制度です。

注釈

簡単に言うと、公の境界(筆界「ひっかい」といいます)が分からず困った時に、裁判をする前に、法務局という役所がそれを決めてくれる、という新しい制度です。
裁判によらずに解決することの利点は、訴訟(筆界確定訴訟という)を提起する方法をとると、解決するまでに平均2年の期間がかかるというデータがあり、また、通常弁護士に仕事を依頼して訴訟を起こし裁判を行うという形式をとるため、費用が相当にかかり、不動産の安全で円滑な取引に支障があるからです。
今回のこの制度は、解決するまでの期間を、半年以内の解決を目指すというもので、さらに費用も裁判するより安くすむことになっています。

(2) では、一体誰から、筆界特定の申請をできるのか、というと

法務省の出した「筆界特定制度」の広告
定義

土地の所有権登記名義人等は、筆界特定登記官に対し、当該土地とこれに隣接する他の土地との筆界について、筆界特定の申請をすることができる。(131条1項)

解説

土地の所有権登記名義人等とは、

  1. 登記された所有者

  2. 土地の相続人等(登記はしていないが、相続による権利者所等)

注釈

簡単にいうと、通常、「地権者」といわれる方かその相続人であれば、筆界特定の申請をできると考えて良いです。

今回も新しい制度ですので、やはり、自分でいきなり申請するのではなく、お知り合いの土地家屋調査士もしくは司法書士に聞くのが一番です。
我々は、不動産の専門家として、不動産オーナーの皆さんの安全で円滑な取引を心から願っています。



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