土地家屋調査士 鹿士憲司 事務所:北海道札幌市で、境界・測量・登記の相談を受け付けています

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家主と地主

Vol.14 2006秋号

新不動産登記法の改正と不動産オーナーの注意点

法務省により新設された
筆界特定制度について(後半)

不動産オーナーの皆さま、こんにちは。私は土地家屋調査士をしております鹿士憲司と申します。今回は、前回お伝えした、今春から「法務省により新設された筆界特定制度」についての続きをお話しします。「筆界特定制度」の定義とその解説については、前号「家主と地主Vol.13」をご覧下さい。

専門家の意見も参考に
さて、境界問題を解決する制度は

  1. 「土地家屋調査士による土地境界確定測量」
  2. 「法務省による筆界特定制度」

  3. 「裁判所による境界確定訴訟」

の3つの方法があります。

今回はこれらの違いについてお話いたします。境界の位置が不明確なことから起こる境界紛争は深刻になりやすい事と、境界が不明確のままでは、少しの食い違いでも「欠陥土地」として事実上売却できず、また、上手に解決しないと、近所付き合いに悪影響を及ぼすといった問題点があります。

そこで、最初にすべき事は

1.土地家屋調査士による「土地境界確定測量」です。

土地家屋調査士は法務大臣に認定された「不動産に関する専門資格者」です。専門的知見により、土地の境界に閲し、誰からみても安当だと考えられる公法上の境界(これを「筆界」 (ひつかい)と言いますが、)を確定するために広範囲な調査・測量・検討を実施し、皆さまの大切な土地の境界を探し出します。この後お伝えする「筆界特定制度」も実質的には土地家屋調査士が主体となり調査・測量・検討しますので、土地の面積が知りたい・境界の位置をハッキリさせたい・境界杭を入れて欲しいという時には、まず専門家である土地家屋調査士に相談する事が賢明です。

次に、法改正後の新制度である、

2.「筆界特定制度」とは、

境をめぐってトラブルにも
法務局の筆界特定登記官が行うもので、訴訟ではありません。簡便な手続きにより、6ヵ月以内に結論が出されることが期待されており、そのために、土地家屋調査士、司法書士、弁護士等から筆界調査委員が選任され、これらの者による調査がなされ、その調査結果に基づいて筆界特定登記官が筆界特定を行います。ただし、添付書類など複雑な点も多いので、土地家屋調査士が代理人となって申請する事をお勧めします。お近くの土地家屋調査士にご相談ください。

最後に、従前からある、

3.「境界確定訴訟」とは

土地の境を明確に
「隣接する土地の境界線について争いがある場合に、判決によって境界線を確定することを求める訴え」です。裁判所は対象の土地の境界線を必ずどこかに定めて判決をすることが必要となるのです。しかし、「境界確定訴訟」の平均解決年数は2年と言われており、しかも訴訟ですので、原告、被告が対立する形をとるので、できれば「境界確定訴訟」に入る前に(1)もしくは(2)の方法で解決することが望ましいと言えます。

いずれにしても、土地の境界についてのご相談は専門家である土地家屋調査士に相談することをお勧めいたします。我々、土地家屋調査士は、皆さまの境界問題の早期解決をめざし、今後も努力していきます。



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