土地家屋調査士 鹿士憲司 事務所:北海道札幌市で、境界・測量・登記の相談を受け付けています

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家主と地主

Vol.12 2006春号

新不動産登記法の改正と不動産オーナーの注意点

不動産登記も番号制の時代に
登記識別情報の管理は要注意

今回は、昨年3月7日に全面改正された「新不動産登記法」がどのように変わったのか、そして家主・地主の皆さんが注意すべき点をお伝えします。

今回の法改正の「みなさんにとっての重要ポイント」は以下の五つです。

  1. 全文改正である事(一部改正ではありません)
  2. 登記簿が今までの「表題部」「甲区」「乙区」から→「表題部」「権利部」に
  3. 今までの「権利書」が「登記識別情報」という12桁の英数字の記号に
  4. オンライン申請制度の新設
  5. 土地の分筆登記の際、原則、分筆地・据置き地のすべてを測量する事となった

まず 1. については、条文が100%変わりましたので説明は簡単ではありません。その都度、お知り合いの土地家屋調査士もしくは司法書士に開くのが一番です。

次に 2. ですが、登記簿が見やすくなりました。現在は不動産の場所・種類・大きさが書かれる「表題部」(人間で言う名前や顔にあたる部分)と、その不動産の権利者が書かれる「権利部」(さらに、その「権利部」の中に、持ち主が書かれる「甲区」と、他人の権利、例えば抵当権や借地権が書かれる「乙区」に分かれます)の二つだけになりましたので、測量する時は「表題部」、売買するときは「権利部」というふうに、以前より分かりやすくなりました。

書面による登記識別情報の交付例
そして、 3. についてですが、これが家主・地主のみなさんが最も注意しなければいけない点です。
以前はみなさん、不動産の登記を終了した際、登記所(法務局)で「紙の登記済証」(権利書)を受け取り、自宅などで保管されていたと思います。ところが、これからは、一定の登記所(法務局)では、それが12桁の英数字の記号が書かれた物一枚をもらうのみです(またはパソコンに送信されます)。
これを「登記識別情報」といい、以前より厳重に管理しなければいけません。
なぜならば、以前は「紙の登記済証」(権利書)その物自体を持ち出さないと基本的には売買や移転登記が不可能でした。ところが、これからは、その「登記識別情報」自体を持ち出さなくても、「12桁の英数字の記号」を盗み見されてしまうと、ニセ者によって売買や移転登記が簡単にできてしまう可能性があるからです。そこで、登記所(法務局)の側では「目隠しシール」を張ったり、「暗証番号」が無いとパソコンで見れない、という策を講じていますが、世の中に絶対はありません。
やはり、お知り合いの土地家屋調査士もしくは司法書士に相談して、しっかり管理する事をお勧めします。

さて、 4. については、暗証番号を管理する「認証局」などのインフラ(環境)が未整備なので、オンライン申請は現時点では実用的ではありません。
いずれ機会が来れば、また情報を掲載させていただこうと思います。

最後に 5. ですが、以前は土地の分筆登記(売買などのため土地の一部を切る事)をする際、切る方の土地一方の測量(確定)のみで受理される場合もあったのですが、今後は、すべての土地を測量しなければ登記所(法務局)で登記申請を受理しないため、測量の費用は以前よりかかる事となりました。
不動産オーナーのみなさんの安全で円滑な取引を心から願っています。



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